映画ログ

これまで観てきた映像作品の備忘録

パンダコパンダ

 

パンダコパンダ [DVD]

パンダコパンダ [DVD]

 

 ★★★★

原案・脚本は宮崎駿、演出は高畑勲で1972年に製作されたアニメーション映画。ひとり暮らしを始めた女の子・ミミ子と、そんなミミ子の家に現れたパパンダとコパンダの3人の共同生活を描いた作品。

人の言葉が理解できるパンダが急に現れ一緒に生活するというシュールな設定でありながら、描かれるのはいたって平凡な日常生活である。ここには、「現実からの大きな飛躍」を、日常生活の細やかな描写によってリアルなものにするという、宮崎駿高畑勲の意図が込められている(DVDに収録された、宮崎と高畑の対談の映像も大変興味深い内容になっている)。

パレードへようこそ

 

パレードへようこそ [DVD]

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 ★★★★★

1984年に起きたイギリス炭鉱労働者によるストライキと、それを支援に乗り出したゲイ・レズビアンの団体(炭鉱夫支援同性愛者の会:Lesbians and Gays Support the Miners:LGSM)の活動を題材にした、実話をもとにした作品。

当時のサッチャー政権といった「同じ」敵に直面する、ゲイ・レズビアンの人びとと炭鉱労働者やその家族たちが、「連帯」の理念のもとに支え合う様子とその困難とがコミカルに描かれた作品。

麦の穂をゆらす風

 

 ★★★★

1919年から1921年にかけてのアイルランド独立戦争、その後に発生したアイルランド内戦を描いた作品。ケン・ローチ監督作品。ケン・ローチの作品を観るのはこれが初めてである。

アイルランド独立戦争やその後の内戦についてはこの映画を観るまでほとんど知らなかったが、映画では戦争にまつわる出来事が、独立戦争をともに戦い、その後の内戦では対立していくアイルランド共和軍の一兵士の目線から描かれていて、当時の戦争の雰囲気を知ることができる。英国軍の支配から自由になるため、ともに痛みを分かち合いながら戦った人びとのあいだに対立が生じてくる様子からは、抑圧や暴力といったものがいかに繰り返し生起してくるものであるかということを痛感させられる。

同時に、痛みや暴力の連鎖が生じていない状況にあるということがいかに自明なことでないかということについても気づかされる。

「それでは表は緑だが 中は赤い帝国だ」

「俺たちは英国人じゃない」

誰も知らない

 

誰も知らない

誰も知らない

 

 ★★★★

是枝裕和監督作品。柳楽優弥主演。東京で暮らす4人の兄弟が、誰にも知られることなく——つまり「社会」から知られることなく——生きていこうとするさまを描いた作品。なぜ社会は彼らを知ろうとしないのか/知ることができないのか、なぜ彼らは誰からも知られたくないのか。考えさせられる。

「ブラス!」

 

ブラス! [DVD]

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 ★★★★★

イギリスの炭鉱町で活動するブラスバンドに関わる人々の物語。

イギリス国内で炭鉱が次々と閉鎖されていった1980年代。バンドで演奏する男たちも仕事を失い、それまでの普通の生活、そして尊厳を失っていく。組合の解体、家族の崩壊など、それまで人々をつなぎとめてきた連帯も薄れていく。

ブラスバンドの華やかな演奏とともに、「経営の側」に翻弄されていく労働者たちの惨状と、たくましさとを描いた作品。

「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」

★★★

「ブロークバックマウンテン」などにも出演したジェイク・ギレンホールが主演。妻を亡くした男の人生の崩壊とその後、といった内容だが、個人的には話の展開がやや掴みにくかった。