映画ログ

これまで観てきた映像作品の備忘録

「ニュー・シネマ・パラダイス」

 

ニュー・シネマ・パラダイス 完全オリジナル版 [DVD]

ニュー・シネマ・パラダイス 完全オリジナル版 [DVD]

 

 評価:★★★★★

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名作として名高い映画だが、ようやく観ることができた。


1.映画技師アルフレードとサルヴァトーレの友情

アルフレードとサルヴァトーレの友情が可愛らしく、かつ美しい。ずる賢い少年時代のサルヴァトーレとアルフレードのちょっとしたコメディじみたやりとりには思わず笑みがこぼれる。青年となり、恋に溺れるサルヴァトーレに対して、アルフレードが語る言葉は心に刺さる。「もうお前とは話さない。お前の噂を聞きたい」というアルフレードの言葉からは、サルヴァトーレの背中を押そうとする深い愛情が感じられる。


2.人生において恋とは何か、そして夢とは何か
サルヴァトーレの恋はうまく運ばない。思いを寄せるエレナとは付き合うところまではこぎつけながらも、なかなかうまくいかず、結局別れ別れになってしまう。歳をとったのちに2人は再会するが、互いの思いは確かなものだとわかりながらも、もはや時すでに遅し。
そしてこの2人のすれ違いは、アルフレードが巧妙に仕組んだものであった。彼は、エレナに溺れるサルヴァトーレを見て、彼の人生のためにもこの恋は実らないほうがよいと考える。結果として、サルヴァトーレはエレナへの未練を心の奥底に抱えながらも、映画製作者として成功を収める。


3.夢を思い出させる何か
エレナとの恋によって、サルヴァトーレのなかで映画への情熱は次第に冷めていく。しかし、亡きアルフレードの形見として、1本のフィルムが送られる。それは、かつてサルヴァトーレが映画館に通いつめ始めたころ、司教さんによって映画からカットされていたラブシーンのフィルムを1本にまとめたものだった。エレナと故郷で再会し、その幻影に再び悩まされながらそのフィルムを観はじめた彼は、再び少年時代のような好奇心あふれる笑顔を取り戻す。
というのが、おそらく普通の解釈だろうが、自分自身はこのシーンに、サルヴァトーレの映画に対する思いの再燃といった意味以上の、サルヴァトーレ自身の人生を奮い立たせるような何かを感じた。うまく表現できないが、ひどく感動した。