「ウルフ・オブ・ウォールストリート」
評価:★★★★
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マーティン・スコセッシ監督&レオナルド・ディカプリオ主演の恒例タッグが送るコメディ映画.ウォールストリートの「狼」と呼ばれた株式ブローカー,ジョーダン・ベルフォートの半生を題材にした伝記的な作品である.才能に恵まれながらも金とセックスとドラッグにまみれゆく彼の人生の過程は波乱万丈で見ごたえがあった.
スコセッシ監督の作品において特にいえることだが,ディカプリオはなかば狂乱じみた奇才をもつ人物を役に見事によくはまる.この作品においてもそれが感じられた.
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こんな記事を見つけた.
オレにこのペンを売ってみろ | CHANGE THE CONSUL|服部慎也(FACTDEAL Inc.)
映画のなかでベルフォートは,さまざまな人に対して1本のペンを差し出し,「私にこのペンを売ってみなさい」という.
たいていの人は,「このペンは素晴らしい書き心地で……」などと,そのペンに内在する価値をベルフォートに対してアピールする.しかし,それではペンは売れない.これはただの普通のペンなのだ.
あるクスリの売人はいう.「このナプキンに名前を書いてくれ」.ベルフォートはペンを持っておらず,名前を書くためには彼はペンを書かねばならない.必要によってモノが売れたのだ.
しかし,重要な点はその先にある.ベルフォートは,株式を売却する際,見込みのある客に電話をかけまくり,こういうのだ.「この企業の株を買うことで,あなたにはこんな将来が待っている……」.モノを売るときに重要なのは,そのモノ自体がどれほど優れているのか(その企業がどれほどの将来を有しているか)を主張することではない.そのモノを買うことにより,顧客にはどのようなバラ色の将来が到来しうるのか,換言すれば,顧客のどのような「夢」が叶うのかを,顧客が見通せるようにすることこそが重要なのだ.モノを売るのではない,モノによって叶えられる「夢」を売っているのである.