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観た映画の備忘録

残像

 

残像 [DVD]

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ポーランドアンジェイ・ワイダ監督の遺作。ワイダ監督の作品を観るのはこれがはじめてだが、主にポーランドを舞台にして、レジスタンスや共産主義化した社会の末路などを描いた作品を多数残しているようである。パルム・ドールを受賞した『鉄の男』などもこれから観てみたい。

本作も、第二次大戦直後のポーランドを舞台とした作品である。前衛的な作風の画家であるストゥシェミンスキ(実在の人物らしい)は、芸術の政治利用(社会主義リアリズム)をすすめる当時のポーランド政権に抵抗する。大学を終われ、作品は非公開とされ、芸術家協会の資格も剥奪されるなど、ストゥシェミンスキは政権からの弾圧を受けるが、彼を慕う後輩たちや娘たちの協力も得ながら、みずからの矜持を貫こうとする。

ソ連の影響下で社会主義を推し進める当時のポーランドがどのような雰囲気であったのか、政治的なイデオロギーのために芸術がどのように利用されるのか、そうしたイデオロギーに賛同しない人々がどのように冷遇され、またそれにどのように抵抗したのか。本作の内容はこうした問いを考えることを促すものになっていると思う。

同時に、この作品では政治と芸術の関係、そしてそのなかで翻弄される人々が描かれていたわけだが、研究者を志す身としては、政治と学術との関係やそこに巻き込まれた人々の人生というのは、芸術の場合とどれほどリンクしており、どれほど違っていたのだろうか、といったことも気になった。

ともあれ、政府からの弾圧を受けながらもなお、みずからの信じる芸術を続けようとする——しかし、それはますます困難になっていく——ストゥシェミンスキの姿は、わたし自身に奮起を促してくれる反面、少なからぬ絶望を与えてくれるものであった。

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「諸君は自分の表現を模索してくれ」

「どのように?」

「自分で探すんだ。芸術も恋愛も自分の力で勝負するしかない」