映画ログ

観た映画の備忘録

人生タクシー

 

人生タクシー [DVD]

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 イランのジャファル・パナヒ監督による作品。パナヒ監督は、反体制的な作風などから、20年のあいだ映画に関わる様々な活動をイラン政府によって禁じられている。にもかかわらず、パナヒ監督みずからタクシー運転手に扮し、車内に搭載したカメラの映像をもとにつくられた“映画”が本作である。

タクシーの車内から覗き見るイランの街並みや(舞台がどこかはわからないが、想像以上に都市化した街並みに驚く)、タクシーのなかで繰り広げられる会話やふるまいから垣間見えるイランの人々の日常生活(なんというか、人と人の距離が近い。そして何より、パナヒ監督の姪っ子がかわいい!)は、もちろん興味深い。しかし、この映画の最たる魅力は、その着想の斬新さである。政府から禁じられているなかで、「このようにして映画を撮る方法があるのか」ということに驚かされる。自分のような人間であれば、禁じられてしまった時点で、映画製作を諦めてしまいそうである。そのなかで、パナヒ監督が本作のような映画をつくることができた背景には、映画製作にたいする彼の強い執念と、アイディアの豊かさがあったのだろう。

大学の課題で短編映画を撮るという若者とパナヒ監督の2人による次の会話からも、パナヒ監督の映画製作への姿勢が垣間見える。同時にこの会話は、自分を含め、何かをつくる仕事に従事するすべての人にとって示唆に富む内容でもある。

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「本を読み 映画を観て 題材を探してますが これというのが見つからなくて」

「いいかい 映画は すでに撮られ 本は書かれてる 他を探すんだ 題材はどこかに存在してる」

「何をどこから 始めればいいと?」

「そこが一番 難しい 誰も教えてやれない 自分で見つけるんだ」