映画ログ

観た映画の備忘録

二重生活

 

二重生活

二重生活

 

哲学専攻の大学院生・白石珠は、指導教官である篠原のアドバイスを受け、修士論文執筆のための調査として、無作為に選んだ個人への「理由なき尾行」を決行する。対象者に選ばれた白石の隣人・石坂は、一見セレブで完璧な一家の主人だったが、「尾行」を始めると、彼が不倫をしていることが判明する。石坂の不倫相手との密会、家族との不和などを次々と目撃し、「尾行」にのめり込んでいくなか、次第に同棲していたパートナーの卓也との関係もなおざりになっていく。

以前のバイト先の上司に勧められて観た映画で、「『現代日本における実存』って笑」「…調査倫理は??」などとツッコミどころもあったものの、おもしろかった。人間は特定の誰かといることで、満たされない自分の何かを満たしたり、逆に誰かと離れることで、それまで満たされていたはずの何かが失われ、自分すらも見失ってしまうことがある。そんなことが、白石の「尾行」をつうじて見えてくる。そして、ほかならぬその「尾行」それ自体も、白石自身の「深いところ」を満たしていくように白石には感じられるのである。

観ていておもしろかったのは、誰かをみているその人も、ほかの誰かによってみられている、という構図がところどころに見受けられたこと。「尾行」する白石も、行く先々で誰かにみられ、また逆に「尾行」される。「ああ、やはり観察者に徹することなどとうてい無理なのだ」などということを感じた。