映画ログ

これまで観てきた映像作品の備忘録

劇場

又吉直樹原作。演劇の世界を志す永田と、女優を目指して上京した沙希がともに生きた青春時代を描く。

永田がクソ野郎だとの評価が目に付く。演劇の世界で認められたいという夢が実らず、かといってその夢を捨て去ることもできず、どこか宙に浮いた日々を送る。その一方で、安らぎを与えてくれる沙希という存在に、演劇の世界で抱える不安から逃れるために擦り寄り、それゆえに真剣に向き合うことができない。そんな永田の姿は、たしかにおろかであるし、側から見てクソ野郎だとの評価は免れないだろう。ただ、劇中での沙希がいうように、永田は何も悪くないのだとも思う。だから、不器用な永田を見捨てることはできず、そうであるがゆえに、沙希も苦しんだのだろう。