「カジノ」
評価:★★★
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マーティン・スコセッシ監督作品。マフィアの実質的支配下にあった1970年代のラスベガスを舞台にした、実話をもとにしたストーリー。
ロバート・デ・ニーロ演じる主人公、サム・“エース”・ロススティーニは、賭博のセンスに長けた人物で、ラスベガスのカジノ、「タンジール」の実質的な支配人として活躍する。彼の幼馴染みであるニッキーは、喧嘩っ早くも頼りになる用心棒として、ラスベガスの栄光の階段を昇るサムと手を組んでいる。用心深く、欲を表に出すことはしないサムであったが、タンジールで出会った女性、ジンジャーにひと目惚れし結婚したことから、彼の栄光と、彼を取り巻きカジノを仕切るマフィア仲間たちの崩落が始まっていく。
この映画の特筆すべき点として、まずはマーティン・スコセッシの作るその世界観が挙げられる。彼が作りあげる作品は、レオナルド・ディカプリオが主演した「アビエイター」なども同様に、一見華やかな世界のなかで繰り広げられる、人びとの栄枯盛衰を見事に描いている。この作品においても、ラスベガスのカジノという豪華絢爛な舞台の裏で繰り広げられる暴力、陰謀、ドラッグ、不貞などなどが微細に描かれており、その手腕がいかんなく発揮されていた。
くわえて、ロバート・デ・ニーロの演技力も、この作品の魅力の1つであると言えよう。彼の演技が作り出す、冷静沈着なペルソナの裏で、神経質なまでに「信頼」を求めるサムというキャラクターは、この映画において神秘的な輝きを放っている。
「宝石も金も 信頼に比べりゃ屁と同じだ
命を預け合うのが夫婦だ」