映画ログ

これまで観てきた映像作品の備忘録

山谷――やられたらやりかえせ

日雇い労働者たちが集う1980年代中頃の東京・山谷を主な舞台としたドキュメンタリー。「労務支配」がいかなる構造のもと成り立っているのかを,山谷のみならず,釜ヶ崎をはじめとした全国各地のドヤ街,炭鉱業が衰退した筑豊地域への取材をもとに描く。「『炭鉱夫』たちはどこへ行ったのか」というこれまで抱いてきた疑問に,ひとつの見通しを示してもらったような気持ちがした。

作品の上映終了後,会場となった国立映画アーカイブの建物の外で,作品に関するビラを配る活動団体の方たちがいた。私もビラを受け取ったのだが,その際,国立映画アーカイブの警備員らしき人たちが出てきて,ビラを配る人びとを注意しはじめた。労働者が受けてきた差別と抑圧を描いた作品の上映会場でこのような光景が見られたのはなんとも皮肉である。