映画ログ

これまで観てきた映像作品の備忘録

コーダ あいのうた


合唱祭のシーンの演出など、随所にすばらしいと感じるポイントがあった。しかし、映画の中では描かれたなかった余白の部分が、どうしても気になってしまう。エミリア・ジョーンズ演じる主人公ルビーに嫌がらせをする学校の雰囲気は変わらなかったのか。周囲から浮いていたルビーはどうやって合唱クラブに馴染むことができたのか。そして、ルビーが家を去り、通訳がいなくなったロッシ一家は、これからどうやってやっていくのか。通訳者を雇っているように見えたが、そのお金はどうやって捻出するのか。なぜ、通訳という支えを家族もしくは市場から調達するしかなく、そこに公的な支えがないのか。こうした疑問には直接タッチしないスタンスなのかもしれないが、そうすることで、ストーリーの厚みやリアリティが失われてしまっているように感じた。

Joni MitchellのBoth Sides Nowは、やはりすばらしい曲だとあらためて感じた。